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グローバル化するということ(2)–きれい事ではない

グローバル化するということ(2)–きれい事ではない

「グローバル化」「国際化」というと、先進的な響きがありますよね。「グローバルに活躍している」というと、世界を飛行機で飛び回って、各地でバリバリ働いている、かっこいいイメージが。

実際には、そんなにしょっちゅう飛行機で飛び回っていると、体は疲れるし、時差ボケしまくって大変です。機内でもゆっくりできず、仕事をしまくらなければいけない場合も多いでしょう(私は働き者だった30代のころ、飛行機を降りる前に、知らないアメリカ人のオジサンに”You are such a hard worker!”と言われたことがあります。)あまり地元を離れてばかりだと、地元の友人と疎遠になり、話も合わなくなります。既婚者であれば、それこそ離婚の危機に扮しないとも限りません。

「グローバル化」= 欧米化」ではない

前回のコマーシャルでは「ハグを躊躇するのが典型的な日本人」として描かれていましたが、「グローバル化」とは「躊躇せずにハグができる」といった表面的なことでもありません。(ハグしない国は、日本以外にもいくらでもありますし、「挨拶は頬にキス」でも「ハグはダメ」という国だってあります。)

例のコマーシャルは日本人に向けたものであり、「国際便が増え日本人に海外で活躍してほしい」という制作意図だったそうですが、新たに就航することになったのは、バンクーバー便とハノイ便です。バンクーバーは市民の半数以上が非白人で、非常にアジア系が多い都市ですが、一応、カナダは白人多数の国としても、ハノイはベトナムです。それでも、「外国人」=「白人」「海外」=「欧米」「国際化」=「欧米化」なのでしょうか。

身近なグローバル化

前回、悪気のないコマーシャルや日本人の悪気のない発言が、日本に住む外国人に不愉快な思いをさせていることを書きましたが、一方、日本では、外国生まれの住人が増え、ゴミ出しルールを守らない人が増えていることが各地で問題になっています。

「グローバル化」とは、結局、そういうことなのです。自分とは違った価値観の人、自分があたり前と思っていることをあたり前と思っていない人と隣同士で住んだり、働いたりする、ということなのです。

口先で「これからの世界はグローバル」「国際人を目指そう」「国際交流は大事」というのは簡単です。しかし、実際に、共有部分である廊下に履物を置きっぱなしにしたり、夜遅くまで騒いだりする人が隣に引っ越してきたら?食習慣などの影響で体臭が強い人もいます。そういう人と隣り合わせで働くことになったら? 

「じゃ、グローバル化反対」といって、グローバル化は止められるものでもないでしょう。(鎖国でもしない限り。)止められないなら、何とかお互いが気持ちよく共生できる方法を探すしかないのではないでしょうか。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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