Global Career Guide
和訳するのに苦労する英語のひとつに”Professional”があります。「そんなの簡単でしょ。”プロ”でしょ」という声が聞こえてきそうですが、実際に、何の躊躇もなく、これを「プロ」と訳す人がいます。
日本語で「プロ」を辞書で引くと、「プロフェッショナル」の略で、アマチュアの反対語と書かれています。確かに、英語の”professional”も「プロ」という意味で使われることがあり、たとえば”professional baseball player”や“professional photographer”の”professional”は、日本語の「プロ」と同じ意味です。
しかし、ビジネスの現場で“professional”が使われる場合、大半は「知的職業、専門職に従事している(人)、特別な教育、訓練、スキルを必要とする職に就いている(人)」という意味です。”
「クリエイティブクラス(Creative Class)」の話をしたときに、これは知的労働者(knowledge worker)とほぼ同義語と書きましたが、”professional”も同じような属性の人たちを指します。
“Young professionals”といえば「知的職業に従事する若者」という意味ですし、”Business professionals”は”business people”と同義語です。
同様の言葉に”white collar”があります(ホワイトカラーの「カラー」は色の”color”ではなく、衿の”collar”。元々、ホワイトカラー職は白いシャツを着用することが求められたため)これは、blue collar”と対比して、デスクワーク(office jobs)的な意味合いが強く、”professional”と違う点は、ホワイトカラーは大卒とは限らず、専門職とも限らない点でしょう。(なお、”white- collar jobs”は”corporate jobs”で置き換えることもできます。)
なお、“pink collar”という表現もありますが、これは事務・秘書職や、販売職のサービス職で、従来、主に女性が従事した(低賃金)職種のため「ピンクカラー」と呼ばれます。女性もホワイトカラー職に就き、男性も一部のピンクカラー職に就くようになったためか、最近では、あまり使われなくなりました。
“Professional”は、下記のように形容詞としても使われ、「職業上ふさわしい、ビジネスの場にふさわしい」という意味です。
・in a professional manner (職業人として立派に、ビジネスの場にふさわしい形で)
・That’s not very professional. That’s unprofessional.
(職業倫理にそぐわない、ビジネスの場にふさわしくない)
たとえば、アポにいつも遅れてくる、アポをすっぽかす、面接に短パンで現れる、言葉遣いが荒いといった行為に対して使えます。
副詞としても、下記のように使われます。
・You need to present yourself professionally at a job interview.
・He did not behave very professionally.
・It was handled very professionally.
なお、英語で”pro”というと、「専門家、その道のプロ」という意味になります。
・She’s a pro.「彼女は、その道のプロだから」
・You should hire a pro. 「専門家を雇った方がいい」
“Pro”は、必ずしもプロの選手などにだけ使われるわけではなく、下記のような形でも使われます。
・He’s a pro when it comes to negotiating. 「交渉においては、彼は玄人」
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。