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雇用を増やし始めたアメリカ企業

世界を巻き込んだ金融危機以降、米経済は大不況(The Great Recession)に陥りましたが、経済指標的には、不況は2009年第2四半期に終了したことになっています。ただし、その後も雇用は増えず、雇用なき回復(Jobless Recovery)と呼ばれてきました。

しかし、不況の終焉から5年、やっと企業も採用を増やす兆しが見えてきました。米企業内外の採用担当者を対象にした採用計画アンケート調査によると、2014~2015学年度、大卒者(主に新卒)の採用予定が16%増加しています。

上記のグラフでも、過去7年、企業が雇用に対して消極的だったのがわかりますが、今後、雇用が増える背景には、これまで採用を控えてきたため累積需要(pent-up demand)があるという見方があります。また、これまで不安から転職を控えていた就業者らが、「転職しても大丈夫」と離職者が増えたのも一因です。ここ2~3年ほどは活発な採用活動が行われると見られています。

とくに前年比二桁の割合で大卒者の採用予定が増えているのが、情報サービス(51%)、金融保険(31%)、プロフェッショナル・ビジネス・科学サービス(24%)、政府(24%)、製造(17%)、非営利(16%)の6分野です。

一方、教育サービス(▲2%)、(電気・ガスなどの)公益(▲17%)では前年比採用予定が減っています。また、MBA所有者の採用予定も38%、博士号取得者の採用予定も20%上昇しています。

金融業界の雇用回復

一方、ヨーロッパでは、これまでヨーロッパ経済をけん引していたドイツの経済が減速し、さらなる低迷が危惧されていますが、イギリスでも雇用は増えているようです。とくに金融危機以降、大量のレイオフが行われた金融業界では、その反動もあり、アメリカと同様、イギリスでも採用が活発化しています。ロンドンでは、今年6月、金融・関連サービス業界での雇用数が過去最高に達したということです。留学後、現地で就職を目指す人はもちろんのこと、日本国内でも外資系への就職を希望するのであれば、本国の景気動向やトレンドを追うことは必要でしょう。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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