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管理職になんてなりたくない(2)

前回のアメリカでのアンケート調査ですが、年齢別に見ると、下記のグラフで見るように、若い世代の方が「指導的地位を目指す」という割合が多いのです。

年齢とともに割合が減るのは、ある程度の年齢までに管理職に就いていないと「今のままでいい」と思うようになったり、近くで管理職の仕事を見て「割に合わない」と思ったり、前回の日本の例のように、実際に管理職を経験してみて「自分には向いていない」と思う人もいるからでしょう。

ちょうど日本でも、今年度の新入社員に対するアンケート調査結果が発表されました。女性では管理職になりたくない人が72.8%に達したものの、男性では34.5%であり、若い世代は管理職になりたがらないと言われますが、男性に限っていえば、そうでもないようです。ただ、新入社員を対象にした調査ですので、彼らもまた、現場で管理職の仕事を目にするうちに、現実に失望していくのかも知れません。

実は、私は、今月、南米クルーズに行っていたのですが(今も、この原稿をチリのサンチャゴで書いています)、ダイニングルームで私のテーブルを担当したウエイター(ドミニカ人)が優秀で、「次はHead Waiterに昇進?」と聞くと「とんでもない。SupervisorやManagerなんて絶対にやりたくい」とのことでした。「管理職になりたくないのが、こんなところにもいたか」と苦笑したのですが、聞くと給料は増えず、「今でも四方八方からすごい注文をつけられるのに、これ以上、プレッシャーが増えたらたまったものではない」とのことでした。

 給料は増えず責任だけ重くなるなら、それはやりたくないでしょう。(ちなみに、クルーズ会社はアメリカの会社です。)

企業としては、管理職になりたくない人が増えるのは問題でしょうが、働く側からいえば(とくに管理職を目指したことのない私としては)、プライベートを大事にしたり、管理職でなく専門職のままでいたいという人がいたっていいのではないかと思います。価値観や働き方が多様化した今、「会社に入ったら出世するもの」という時代ではないのだと思います。

一方、「管理職になりたい」という人にとっては、そうでない人が増えるのは競争が減ってチャンスとなるかもしれません。

今年は、これで最後になります。今年一年、ご購読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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