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クルーズ船でグローバル力を養う (8) - 乗務員として(前編)

クルーズ船に乗っていつも思うのが、「私も若かったら、クルーズ船で働いたのに」ということです。タダで、あちこち旅行でき、給料ももらえるのですから。それこそグローバル・ノマドワーカーです。残念ながら、私が20代の頃は、アメリカでもクルーズは、今のように大衆化しておらず、クルーズ船で働くことなど頭もよぎりませんでした。

国連のような多国籍乗務員

クルーズ船に乗るとわかりますが、乗務員は皆、名前と出身国が記載された名札をつけています。そこで、乗客は”So you are from ….”といって会話の糸口となるのですが、出身国は実に多岐にわたります。

私が12月に乗った船は乗務員が1000人ほどいましたが、その出身者は数十カ国にのぼりました。昔は乗組員はフィリピン人が大半を占めていたのが、ソ連崩壊後は東欧出身者が格段に増えたと思います。今回、乗った船では、一番高級なSpecialty Restaurantのスタッフは一人を除き、(白人優先かと疑いたくなるくらい)全員が東欧の人でした。

日本人スタッフに出会ったのは、これまで一度だけで、多分、ヨーロッパだったと思うのですが、エンタテーメント関連のスタッフをされていました。もちろん、日本発着クルーズであれば、日本人スタッフは多いでしょう。

つまり、乗客でなく、乗務員としてクルーズ船に乗るという選択肢も大いにありなわけです。クルーズ船で働いている日本人のブログもありますし、クルーズ船で働きたいという人は結構いるようです。クルーズ旅行をする日本人が増えるほど、日本人乗務員の需要は増えるでしょう。

日本人向け応募条件では、英語は日常会話レベル以上ということで、高度な語学力は必要ではないようです。どの船も、乗務員は圧倒的に英語を母国語としない乗務員の方が多く、訛りがきつかったり、ボキャブラリーが限られていて英語がわかりにくい人や、こっちが英語ネイティブ向け表現とスピードで喋ると理解できない人もいます。職種によっては、英語がそれほど流暢でなくても務まると思います。

中南米のクルーズであればスペイン語圏の乗務員が多い印象ですが、「他の言語もできればプラス」という職種もあり、英語以外の言語もできれば就職には有利でしょう。

契約社員

クルーズ船上の仕事は、契約制の短期職です。Cruise Lineによりますが、契約は最低4~6ヵ月からのようです。12月のクルーズ船では最初は皆、4ヵ月から始まるとのことでしたが、Specialty Restaurantで働いていたウエイトレスは9ヵ月の契約で、2ヵ月休暇を取った後、また更新するつもりだと言っていました。

Cruise Lineでは、乗務員の採用は専門の人材斡旋会社を通じて行い、主にアジア、南米、東欧などの人材斡旋会社を利用しているようです。なお、クルーズ船職専門のジョブサーチサイトもあります。

ギフトショップやフィットネスセンター、Spa(美容・エステ)などは外部業者の運営なので、美容師、ネイリスト、マッサージ師などは、その会社との契約になります。

勤務時間は1日8~11時間で、タダで旅行ができるといっても、乗船中、丸1日休みをもらえることはなく、数時間、寄港地に降りて観光を楽しむスタイルのようです。ただ、数ヶ月乗船していると、何度も同じ寄港地に寄ることになるので、観光は問題なくできるようです。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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