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稼ぐなら理系というより工学系?

これまで、「大学での専攻によって就職と給与が大きく左右される」と何度も書いてきましたが、世界最大の給与データベースを構築するPayScaleによると、1995~2014年大学卒業者の職業別大学投資対効果(ROI)予測は下記のとおりです。

このROIは、アメリカの大卒者と高卒者の20年間の賃金(中央値)差から大学4年間の学費や生活費を差し引いたものです。大学院卒者やパートタイム就労者、自営業者は含まれていません。

コンピューター・数学系が58万ドル、建築・エンジニアリング系が56万ドルで、他の分野を引き離しています。

日本でも理系の就職は有利と言われていますが、日本語の「理系」には工学も含まれています。上記のグラフでは、ROIが高いのは工学系であり、科学系ではありません。生活科学・物理系)は、下から2番目です。(なぜか社会科学も含まれており、社会科学系が給与レベルの足を引っ張っている可能性もあり。)

つまり、今後の給料20年を考えた場合、コンピューターやエンジニアなどの工学系が有利ということです。(不動産市場の景気に大きく左右される建築が、エンジニアリングと一緒の分野に入っているというのもおかしな話。)

アイビーリーグにも勝る工学系

また、同じデータを基に、大学系統別にROIを計算したのが、下記のグラフです。Ivy Leagueよりも工学系大学の方がROIが少し高いという結果です。

アイビーリーグ(Ivy League)を出ると、確かに就職率は高く、有名企業に就職して高収入を得られる確率は高いのですが、学費が恐ろしく高く(年間4万4000ドル~4万8000ドル)、投資額が大きくなるため、このような結果になるのでしょう。

日本でもアメリカでもIT技術者不足が叫ばれており、今後も技術の進歩は止まることなく、あらゆる面でのIT化はさらに進むわけですから、とくにコンピューター・電子工学系が有利な状況は当分、続くものと思われます。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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