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前回、書いたように、私にとってマレーシアの魅力は、食の部分が大きいです。
ちょっと話がそれますが、知らない人が多いことを、最近、知ったので… アメリカもそうですが、(私のような食い倒れ人間にとって)多民族国家のいいところは、各国の料理が本場に近い味で食べられるところです。
アメリカ料理というとステーキやハンバーガーを想像する人が多く、私も過去30年近く、「普段、アメリカで何、食べているの?」と日本の人に聞かれることが多かったのですが、私は主にエスニック料理を食べてきました。ベトナム、インド、パキスタン、四川、台湾、韓国、キューバ、マレーシア・シンガポール、エチオピア料理などです。私の馴染みのレストランは、たいてい英語が通じず(オーナーや従業員が英語を話せない)、主流のアメリカ人は行かないようなところです。
こういう店では、日本でよりも、ずっとおいしいエスニック料理が食べられます。もちろん、日本にも、そういうところはないことはないですが、たとえば日本の一般の中華料理やインド料理は、本場の中華料理やインド料理とはかけ離れたものです。アメリカのアメリカ人向け中華料理やインド料理がアメリカ人向けの味付けにしてあり、マズイのと同じで、日本の中華やインド料理も日本人向けにしてあり、私からするとマズイです。
私が「日本の中華はマズイので食べない」「ラーメンは好き」というと、「中華嫌いなくせに」と言う人がいるのですが、ラーメンは日本料理で、中華料理ではありません。近年、日本のramenは、アジアを含め海外で大人気ですが、日本食として親しまれています。
私は、食の話になると止まらないので、この辺にしておきます。
と言いたいところですが、食というのは文化交流、海外とビジネスを行う上でも非常に大事な要素なので、もう少し。
アジアだけでなく南欧や中南米など、食事を通じて親交を深める文化は世界にいくらでもあります。
皆さんも経験があると思いますが、海外で地元の食事に招待され、「おいしい、おいしい」と言って食べれば、相手に喜ばれますよね?聞いてもないのに、作り方を詳しく説明してくれることも。たとえ、相手と言葉が通じなくても、出された物を喜んで食べれば、相手に喜ばれます。こうしたやりとりも大事な文化交流だと思います。
昔、アメリカからビジネスウーマン(異文化コンサルタント)を2人招き、日本で講演を企画したことがあります。大阪では、講演後、受講者の女性経営者との交流会として中華レストランで夕食をしました。
コンサルタントの一人は、「わからないものは食べない」主義で、食べ物を取り分けられても、「NOOOOOO」と叫びながら、自分の食器に手でふたをしていました。こうしたあからさまな拒絶は、非常にネガティブな印象を与えます。
嫌なら食べなくてもいいですが、とりあえず、笑顔で”Thank you”と言ってついでもらえばいいのではないでしょうか。そして、他に気に入った物があれば、それを”This is delicious/very good/tasty!” ”I love this!”`などと言って、ポジシティブな面に焦点をあてればいいのです。
さらに、“What is this?””What kind of sauce is this?”などと質問すれば、相手も喜んで説明してくれるでしょう。
こうした点は対人スキルとも関係がありますが、たかが食事と思わず、大事な文化交流の場として大切にしたいものです。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。