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マレーシアの英語(4)─ Manglish(前)

さて、マレーシアで日常、話されているManglish。中国語やマレー語の影響を受けており、西マレーシアで話されているManglishは、シンガポールのSinglishとほぼ同じです。マレーシアでは、シンガポールのように政府がSinglishの使用をやめさせようと「標準英語キャンペーン」を展開するようなことはありませんが、Manglishの学校での使用は奨励されていません。

代表的な表現をほんの一部、紹介すると、

・Ok lah  = 「OKよ」「OKね」”Sure” ”Got it”

語尾につくlaは、強調したり、語調をソフトにしたり、いろいろな状況で使われ、トーンによっても意味が違ってくるようです。日本語の「~ね」「~(だ)よ」のようなものです。その他、leh, mah, meh, lorなど多々あります。

・Can can can. = “Yes, of course.”  “Sure.”

たとえば、”Can I leave this here?” と質問すると、”Can can can”`という答えが返ってきます。同様に”Cannot”も”No” ”That’s no possible”の意味で使われます。

・  Can or not?  “Want to go out. Can or not?” = Can I go out?

“Can borrow to me 10 ringgid or not?” = Can you lend me 10 ringgid?

・…, is it?”

標準英語では、”This is nice, isn’t it?” ”You went there, didn’t you?” ”He isn’t coming, is he?”のように付加疑問文は、主文の動詞によって変わりますが、Manglishはすべて”is it?”で片付けます!

その他、マレー語を混ぜて、”Let’s makan” = “Let’s eat” のような表現も用いられます。

Confusing!

上記のようなカラフルな表現は、方言と同じで土地のカラーが出ていいと思いますし、現地の人同士が話をするのには、まったく問題ないと思います。

ただし、観光客とやりとりしたり、海外とビジネスをする場合、下記のような英語は通じなかったり、誤解を招いたりするので、避けた方がいいと私は思います。

下記は、実際に華人らからWhatsAppで受け取ったメッセージです。

・There got one famous one. = There is a famous one there.

(“There is/are”も”have”も”got”ひとつで表せて便利ですが…)

・You can’t do that after machine kaput = You can’t do that. That will damage the machine.  After がlaterの意味で使われ、直訳すると”Later machine (will go) kaput.”

・  Last time I stayed in Germany. = I used to live in Germany. (Last time = 以前)

マレーシア以外でも、stayをliveの意味で使う人たちは多いのですが、“Where do you live?”と聞いて、”I’m staying by the airport”(「空港の近くに滞在している」ではなく「空港の近くに住んでいる」という意味で使われる)という答えが返ってくるので、liveの意味を理解した上での回答のようです。

・Follow me. = Come with me in my car. (「車で後をついてきなさい」ではなく「私の車で連れて行ってあげる」という意味。)

 マレーシアの華人に限らず、すべて現在形で話すのは(時制のない)中国語話者に見られる傾向ですが、

・Never try it. = I’ve never tried it.

・Eat already. = I already ate.

・I understand you do not request for a refund = I understand you aren’t requesting a refund. (エアアジアの顧客サービスとのチャット)

 下記の”誤用”は、海外の大学を卒業したマレーシア人の間でも見られますし、日本人を含め、いろいろな国でよく見られます。アルジャジーラの英訳でも。

I don’t like it, too. = I don’t like it, either.  (Manglishにはeitherは存在しない?!)

Bringとtakeを逆に使うのですが、先の例にあるようにborrowとlendも逆に使われます。

Bring the haze away with you = Take the haze away with you.

煙霧がひどくて「カンボジアに避難する」と伝えたときの返信なのですが、「煙霧持ってきたら困るやろ!」と思いました。(笑)

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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