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語学は習うより慣れろ(2)

前回に引き続き、「英語が話せるようになるには実践あるのみ」の実例を紹介します。

今年に入ってマレーシアのランカウイ島に行ったときのことです。


ランカウイは、華人の多いペナンとちがい、マレー系住民が9割以上を占めています。また、タイと国境を接し(マレーシア本土よりタイに近い)、島からはタイが見えます。島の北部はタイ系住民が多く、タイ料理のレストランも多いです。

99の小島から成るランカウイ群島は、ユネスコのジオパークに認定されており、その自然美が魅力です。(山頂からの絶景は、私の世界自然美トップ10に入ります。)

私もジオフォレストパークのツアーに参加したのですが(ツアーといっても、参加者はもう一組だけで、ほぼプライベートツアー)、ガイドの24才の男性は英語がうまかったです。英語ネイティブが話すスピードで普通に会話ができ、アメリカの口語表現にも慣れていました。

彼は、元々、ランカウイの出身ですが、マレーシア本島で高校を卒業し就職したそうです。二年前にランカウイに戻ってきて、ガイドとして働き始めたということでした。
島に帰ってきた当時は、英語はあまりできなかったそうで、どうやって英語を上達させたのか聞いたところ、ツアーに参加する観光客と接するうちに、自然に聞き取りや会話ができるようになったということでした。
毎日、英語を使っていれば、2年で、こんなにペラペラになるのかと感心しました。

京都の外国人観光客向けタクシー

今月、京都市が全国初の外国人観光客向けタクシー専用乗り場を開設したというニュースを見ました。タクシー乗り場やタクシーには”Foreign Friendly”という表示がされていました。  80人以上の専任運転手は英語や他の外国語の研修を受けたということです。運転手に英語で話しかけられたフランス人観光客は、たどたどしい英語で答えていましたが、観光客の多くも英語ネイティブではないので、英語は間違っています。

運転手 “Did you know…?”

インドネシアからの観光客 “I don’t know.” → “I didn’t know.”

運転手 “How’s the impression of Japan?” → “What’s your impression of Japan?”

香港からの観光客 “People is nice here.”   → “People are nice here.”

観光客とのやりとりに必要な英語は、これで十分です。短期の研修で、これだけ英会話ができるようになるのか、とやはり感心しました。それも白髪頭の年配の運転手さんたちです(私もすでに体験していますが、加齢とともに流動性知能が衰え、新しいことを覚えるのは難しくなります。)

毎日、観光客とやりとりする運転手さんたちの英語は、今後も上達することでしょう。

文法や用法を説明した日本語のテキストを使って、机に座って何年も勉強していても英語が一向にしゃべれるようにならない、というのは当然の結果なのです。英語がしゃべれるようになりたいのなら、実際に英語を聞いたり、話したりして実践する以外、道はありません。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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