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3月8日は「国際女性デー」でした。ここベトナムでは、毎年この日に、バレンタインデーのように女性にグリーティングカードや花、チョコレートなどを贈る習慣があるようです。この日に「夫から花が届かなかったから離婚する!」と息巻く女性もいるようで。
私は1月にインドネシアを旅行中に知り合ったロシア人女性とWhatsAppで毎日のようにやりとりしているのですが、女性デーに花の写真とともにBest Wishesのメッセージが届きました。その花は同僚の女性からもらったそうです。彼女自身が女友達に送ったグリーティングカードの写真も送ってくれました。(送り主は男性とは限らない)。
日本でもアメリカでも、大半の人が女性デーがいつかも知らないのではないかと思いますが、私も、この日は国連が女性の地位向上について呼びかける日と理解していました。しかし、現・旧共産圏では祝日であり、「バレンタインデー+母の日」のような形で祝われるようです。
ベトナムに来ていつも思うのが「ベトナム人女性はよく働くなあ」ということ。ベトナム各地の市街では、山ほどあるカフェで昼間から男性たちがコーヒーを飲みながらたむろしていますが、米国内のベトナム人街でも同じ光景が見られます。そこで、ある日、アメリカでのかかりつけ医(ベトナム系女性)に聞いてみました。「彼らは働いてないの?」と。すると、ため息をつくように「奥さんたちがネイリストしたりして一生懸命働いてるんでしょ」とのこと。(米国内のネイリストの大半がベトナム系。)
昨年、フエでは兄妹が経営するゲストハウスに泊まったのですが、妹は「結婚する予定なんだけど不安。結婚後、彼が働かなくなるかもしれないから。うちの父がそうだった。それで母は苦労した」と。男性が働かない分、女性が働かないといけないのかもしれません。
実は、ベトナムでは企業の取締役に就く女性の割合は30%ほどで、クオータを設けている北欧諸国よりは低いものの、欧米を上回っています。なお、女性の上級管理職の割合は、G7諸国よりもベトナムを含むASEAN諸国の方が高いのです(一番高いのは東欧。国別ではロシアに続きフィリピン。)また、ベトナムは女性のCEOの割合が25%とアジア太平洋地域では最高です。
ベトナム戦争で夫を亡くし子供を抱えて食べていくために商売を始めたという女性もおり(かつ男性があまり働かないからか)、ベトナムでは女性の起業も盛んです。
2011年創業のLCC、VietJetの創業者兼CEOは女性で、創業二年で黒字化、国営のベトナム航空を相手に、数年で市場シェア40%を得るという快挙を成し遂げました。先月、同社はIPOをし(ベトナム最大のIPO)、時価総額で、なんとベトナム航空を上回ったのです。
IPOによって、同CEOはベトナムで二人目の億万長者、東南アジアで初の女性億万長者となり、今年、Forbes誌の「一代で億万長者(self-made billionaire)になった女性」に、東南アジアからただ一人、名を連ねました。(なお、56人中29人がアジアから。)
近年、ベトナムで就職する日本人女性も増えているようです。営業職に就いている女性も結構いるようですが、たしかにDaijob掲載の求人にも営業職が多いです。あなたも挑戦してみませんか?
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。