Global Career Guide
海外就職を考えるとき、みなさんはどのような夢や希望を抱いているでしょうか。今までの自分のスキルを活かして国際的に活躍の場を広げたい、多国語を話して活躍したい、異国の地で刺激的な仕事にチャレンジしたい、夢や希望は無限大に広がるはずです。しかし、就職する国によって、必要とされる人材ニーズというものがあります。インドネシアでは、どのような人材が求められ、そのスキルが皆さんにとってどのようなキャリアアップにつながるかをご紹介します。
日系企業に就職するか、インドネシアの中国系(華僑)企業または純インドネシア人(*1プリブミ)系企業に就職するかによっても、配属される仕事の可能性には多少違いがあります。しかし、インドネシアでの外国人労働者のほとんどは、人材マネジメントという観点で、人件費上昇傾向や人材ニーズ拡大傾向にあります。
*1 先住のマレー系インドネシア人
東南アジアのなかでも急激な成長市場のインドネシアでは、現地スタッフをマネジメントできる管理職人材が不足しています。そのため、本人の実力次第では年齢に関係なく裁量権が与えられ、マネジメントを任されます。
現地でマネジメント力を発揮するためには、英語やインドネシア語などの語学力が必須スキルとして求められます。インドネシアで語学力を高め、現地スタッフのマネジメント経験を積んだ人には、多様なキャリアパスがあります。そのままインドネシアに残って、より好条件・高待遇の企業に転職したり、シンガポールや香港などアジアビジネスの中心地で活躍したりするチャンスにもつながっていきます。また、日本に帰国してアジア進出を目指す企業で活躍するといったチャンスもあるでしょう。
インドネシアは、従業員の転職志向が比較的強い国です。また、同じ職場環境で働く人たちに影響を受けやすい性質もあります。ポジティブな職場環境を作れば、ポジティブな影響を受けあいますし、文句ばかり言っているネガティブな環境を作れば、一緒になってネガティブになる状況を生み出してしまうでしょう。
従業員の定着した勤労意識を維持するために、管理職として、上司として、十分な注意を払う必要があります。インドネシアでは目上の人を敬い、上下関係を大切にする風習があります。上司に不満があったとしても、日本のように職場で強く意見をぶつける人は、まずいないでしょう。インドネシアには「Asal Bapak Senang(アサル・バパ・スナン)」という言葉があり、日本語で「ボスが喜ぶように」という思想が根付いています。問題があれば自分たちでできる限りのことをして、ボスの期待に応えるというような意味もあるようです。それだけ、上司の威厳は絶大なのです。
しかし、いつも従業員が笑顔で文句を言わずに働いているからといって、大丈夫と思い込んでしまうことは危険です。普段、会社や上司言えない不満は、ある日爆発することもあります。給料、休日、補償などの待遇レベルと共に、精神的にも従業員と日頃からコミュニケーションをとることを心掛けて、信頼関係のある良好な労使関係が良い職場を作ります。それによって、従業員の組織に対するコミットメント意識が高まっていきます。こういった、リーダーとして人をまとめる力がインドネシアで働く上では不可欠要素です。
最近では、インドネシア人研修生が日本をはじめとする国外で技術研修を積み、インドネシアに帰国して、外資系・日系企業の重要な担い手となっています。しかし、そのような人材であったとしても、いきなり会社で管理能力がある立場として働くことはできません。
ビジネスをする上で優秀な人材やパートナーを見つけて、ローカルのなかでリーダーシップをとれる人材を育てたり、タッグを組んでチームを育てたりすることも、インドネシアで働くマネジメント力のなかでは必須です。インドネシアだけでなく、どんな国でも、外国人が生活環境も風習や習慣が異なるローカルのコミュニティーに入り込むことは至難の技です。大勢いるローカルスタッフのなかで、1対1の人材育成を行いながら、集団を動かす環境をつくることは成功の秘訣です。
インドネシアでの人材マネジメント経験は、将来さまざまな国で皆さんのキャリアとして活かせて、転職先の幅も広がり、なによりも大きな自信に繋がるでしょう。
※グラフ、図録は 転載:PT. MU Research and Consulting Indonesia, Jakarta, Indonesia インドネシアにおける人材マネジメントの現状より