Global Career Guide
貴重な時間とお金をかけてMBAを取得する意味はどこにあるのでしょうか? かつては給料が上がる、より高いポジションにつくことがMBAの目的とされた時代もあり、そのために仕事を中断して「海外に留学」という高いハードルがありました。現在では、日本国内でのMBA取得が可能となり、自分の本来の仕事、分野に役立つ知識を高めるために MBA 取得を検討する人が増えています。MBA取得の本来の目的は、経営についての考え方を学び「経営者」の視点で意思決定できる能力を身に付けることです。
また、モチベーションにあふれた人材とのネットワークを構築し、それを仕事上に活かす事も大きな目的です。その結果、給料やキャリアアップにつながることもありますが、基本的には本人のキャリアの延長上にあるものです。
実際にMBAを取得した方の年収はどれくらいなのでしょうか? ダイジョブに登録済みユーザーのうちレジメを公開している方を対象に、調査を行った結果、次のような結果がでました。
MBA取得者の74%の年収が500万円以上であるのに対し、文系大学卒業者は45%にとどまっています。MBAを取得する方の年齢が高い事もありますが、全体的に給与額が高いといえます。
また、MBA取得者で年収500万円以下の割合が26%となっていますが、会社派遣で取得した場合、元の会社のとどまることが多いため、給料が押さえられる事が多いようです。
年収1,000万円以上になると、MBA取得者は全体の27%になるのに対し、文系大学卒業者はわずか9%にとどまっています。このことからも一般的なイメージである、“MBA取得者は高給取りである”という事が裏付けられる結果となりました。
MBAを取得した方は、その後のキャリアがどう変わるのでしょう? キャリアアップの成功例を紹介したいと思います。
MBA取得後のキャリアアップのパターン
MBA取得後のキャリアアップのケース
この他にも、既に会社を経営している経営者が、より高いレベルでの経営判断を行うために MBA を取得するパターンもあります。
MBA はほぼ社会人が学ぶため、異なるバックグラウンドを持つ人脈の宝庫と言えます。自分では知識の無い業界や業種の人と触れ合いながらネットワークを形成し、卒業後も情報源として活用する卒業生が多くいます。MBA 卒業生の話を聞くと、転職や昇進に関する有利さを評価するよりも、「そこでできた人脈の方が役に立った」と話す方が多いのに驚きます。
実際には、どんな活用の仕方をしているのでしょうか?
卒業生の話をまとめると、MBAのネットワークから転職先を紹介してもらう、業務関連の紹介を依頼する、意気投合した友人と会社を起こすなど、ビジネスを行う上で積極的に活用しているようです。 特に外国のMBAを取得された方は、そのネットワークも国際的になり、国境を越えてビジネスを展開することもあります。
一方、体験者は「具体的な活用のみが有益なのではない」とも主張します。異業種で働く仲間や国籍の違う仲間と共に学ぶうちに、「多様なものの考え方や異文化への対応力が身につき、人とのコミュニケーション能力が高まった」と、その利点を述べています。
また、MBAに限った事ではありませんが、異なるバックグラウンドを持つ人と過ごす経験を経た後は、自分を客観的にとらえ、広い視野で自分の仕事や生活を見るようになる事が多いのも事実でしょう。それまで、会社などの狭い視点でしか見ていなかった事を外から眺め、自分にとって本当に大事な事を優先する考え方にシフトする、それこそが、キャリアの成功の一番の近道であるのかもしれません。