Global Career Guide

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メンターを持つことの重要性

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
皆さんにはメンターはいらっしゃいますか?  いるとしたら何人いますか? 今日のテーマは「メンターを持つ」です。

先週、アメリカ商工会議所が主催した2016 Women in Business Summitで、”積極的に昇進の機会をつかむ”をテーマにワークショップを行いました。上昇志向の強い英語もできる方が多い集まりでしたが、少し気になったことがあります。

それは、”昇進の準備をするための機会をして、どんなことが考えられるでしょうか” と聞いた時のことです。”短期のアサインメントを取る” “部署をまたがったプロジェクトに参加する“”ボランティアをする”“プレゼンテーションを頼まれたら、積極的に行う”など、様々なアイディアが挙がるなか、”メンターを持つこと”と答えられた方がいらっしゃらなかったことです。

メンターとは、平たく言うと助言者、相談相手、師匠などということになるでしょうか。まだ経験が浅い社員が人生の先輩に、何かあったら相談してアドバイスを受けるというもので、職場の正式な上下関係とは異なります。

メンターが1人いらっしゃる方、手を挙げてくださいますか? で、既にほとんどの手が挙がりませんでした。ましてや2人以上いらっしゃる方?については、1人挙がるかどうかでした。

私にはメンターとお呼び出来る方が3人いらっしゃいます。非常に恵まれていると自分でも思います。お二人は人事畑の大先輩、つまりは私の専門分野でのメンターです。自分のポジションが上がったり、責任範囲が大きくなったり、大きなリストラをしないといけないなど初めての経験に直面した時、相談に乗っていただき、具体的なアドバイスや経験談をシェアしていただけます。経験が浅い自分では思いつかないことや、具体的な乗り越え方がわかり大変助かりました。

最後のお一人は、ビジネスのラインにいらっしゃる方で、超一流、この方のようになれたらどんなに素敵だろうと思える方です。人事の専門家ではないので、人事のアドバイスをいただくことはできませんが、会社全体を見るようなマクロな立場からアドバイスをいただき、目から鱗だったことは何回もあります。
有難い存在です。

自分の専門分野でない方にメンターになっていただくのには、社内で引き上げていただくという特典もあるかと思います。

ある米系企業に勤めていた時、ビジネス・ユニットAのGM(General Manager) 39歳の田中さん(仮称)が、ビジネス・ユニットXのGMで、本社から来ていたEXPAT(駐在員)にメンターになってもらっていることを聞いた時は、さすがだなぁと思いました。Xさんは、人柄も素晴らしく優秀なビジネスマンで、本社に戻ってさらに大きなポストに就くこと間違いない人材で、その人のメンティになっておくことで定期的に彼とコミュニケーションを取り、いざというときに引き上げてもらうおつもりだなと読みました。お見事です。

別の企業でも、人事にいた友人が社長候補にメンターになってもらい、最終的に社長候補が社長になったときに、彼も引き上げてもらい大きく昇格しました。もちろん、ただ仲が良かったから起きたことではなく、彼自身に実力があったことはもちろんです。

どんな方をメンターにしたらよいかと聞かれることがありますが、

a)  経験・スキルだけでなく、あなたの価値観で人間的に尊敬できると思える方

  そうでないと途中でズレが生じ、尊敬し続けることができなくなり関係が長続きしません。

b)   面倒見がよさそうな方

  自分より経験がない未熟な人材の成長を助けるタスクに、ドライな方、自分のことで手一杯な方は向きません。

会社に正式にメンター制度がなくても、ご自分からこの方にお願いできないかなと思える人を探し、「1か月に1度くらいでいいので、キャリアについてのミーティングをさせていただけないでしょうか? XXさんにお願いしたい理由は、XXです。」と、誠意を持ってお願いすれば、まず間違いなく引き受けてくださると思います。

皆さんのキャリアが花開くよう応援してます。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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